最近「ゲド戦記」はやりつつあるので少々雑感。
4年前ぐらいに4巻以降が日本で発刊されたときに、最初から一気読み。
最初の3巻は、中学校のときに一度読んでいたが、
今読み直すと印象がまったく変わっていて新鮮な驚きだった。
大袈裟だが、こういう「物語」は、人生のいつの時点で読むかで、
影響や感想が全く変わってしまうことがある。
私にとって「ゲド戦記」とのつきあいのタイミングはかなりよく、
その意味ではラッキーな人間だったかも。
3巻目までは言い尽くされているのでかんたんに。
いま読み直した感想は、「かっこいい!」だった。
13歳のときは、オチのどんでん返しがすごく面白かった、というだけだったが。
2巻は一番好き。今読むとさらに好きになった。設定も展開も、完璧。
まさに女の子のための「物語」になっている。
3巻は今読んでも難解。作者が予見して表現したかったものが、その時代には明確ではなかったかも知れない。
ただ、今読むとゲドはまだ全然若いやん、と感じた。
最初読んだときは、ほんとに年寄りに感じたのだが。今はこのゲドの年齢に近くなったからだろうな。
そして賛否両論の4巻。いままで作り上げてきたキャラクターをここまでぶち崩してしまうこの冷徹さ。そのクールなところに作者の根性を感じたね。あっぱれです。
個人的には「賛」。これはこれでいいやん。つうかあのオチに持って行くには必要な展開だったとしかいえないし、あの屈辱感と悲惨さが、最後に高く高く飛ぶための助走になっている。
そこが他のファンタジーと一線を画していて、「指輪」や「ナルニア」のようにベタな追随や亜流を作り出すことすらできない、屹立した独自性をもっている。
3巻で一度終わって、ブランクがあったからこそ受け止められたと思うが、
初めて通しで読んだら衝撃だろうなあ。
とにかく、普通ならふれたくないところをばんばん書いている。
ゲドの、力がなくなった後の自己再生の苦しみ?なんて、まさに定年退職後の男のための物語だし、(そういう意味ではもっと掘り下げて書いてもらいたかった)
テナーの、日常生活の倦怠や不安、ささいないらつきなど、いまになってこそ、
共感できる部分が多い。4巻はまさに大人のため、「中年のおじさんおばさん」のためのファンタジー作品なのかも。主たるテーマが性と暴力になってしまっているので、かなり重いが。
魔法を使う場面は他の作品にも多々あるが、魔法をかけられた側の苦しみなんて
いままで誰も描いていないのでは?魔法だって暴力だ、ということか。
5,6巻は、かなり話の雰囲気がはじめの3巻に戻っているのでちょっとほっとした。
結局、「ゲド戦記」ではなくて、「テナー戦記」だっだのか(笑)
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