2009年11月30日 (月)

「戦場でワルツを」

とりあえず非「日本製」アニメ、次に去年のアカデミー外国語映画賞の本命だったらしい、というのがこれを観にいった理由。(映画賞の次点は傑作率が高いので)

久々に、うわやられた!感のある超ハードな作品。(とはいえ最近は1年に3,4本も観られたらいいところなんだが)

たぶん戦争系映画史上に残る傑作。静謐で美しくて、過激にシニカルで、深く深く悲しい。

なんで去年のアカデミーはこれではなくて「おくりびと」だったのか、そのウラも深そうだ。

「おくりびと」見た人はこれも観て考えよう!

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2009年8月 2日 (日)

「人生に乾杯!」

ハンガリー映画というのがまず一番最初に興味をひいた。

(日本にとって)マイナーな国の映画が公開される時点で、すでにかなり選別されてきているので、こういう映画はほぼハズレがない。

さらに内容もかなり面白そうな感触だったので、興味2倍。

期待通り、その場の空気がにおうような、雰囲気のある画面や物語展開、そして特に東欧的な?したたかさやシニカルさといった感じが、笑いを誘う演出でうまく出ていて、かなりよかった。

おもうに、(特に近代)厳しい歴史を経てきた国の映画に現れる“笑い”は、その根底にものすごい強靭さを感じたりするところがある。そのへんが欧州系映画のたまらん魅力、かなあ。

そして意外だったのが、センスのよさ。ときどきはっとするほどスタイリッシュだったりする。これがハンガリー?(失礼)とか思ってしまった。

メインの主人公は老夫婦だが、脇役まで繊細に造りこまれていて、並行する警官カップルの動向もけっこうおもしろい。

オチは予測できた(つうかこうでなければがっかりだ)ので、もうちょっと明確にしてほしかったなあ。(バラトン湖にたたずむ2人のバックとか?)

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2009年2月21日 (土)

「おくりびと」

映画館のタダ券が期限切れ寸前だったので、行ってみたら選択肢がなくて観た。

ネタもいいし、前半の展開はけっこういい、のに、後半からべたべたな過剰演出。BGMとかフラッシュ効果も、あ~あ、ってかんじ。これではもう、泣かせてやるぞってみえみえのお涙ちょうだい映画やんけ。なのでかなりもったいない作品になってしまっている。こーゆうのは韓国ならうけるんじゃないか?

アカデミーとかいうと大騒ぎするが、あれ取るのは駄作って意味だし・・・

(外国語映画賞だけはあたりが多いが)

とはいえこの内容が欧米圏で上映されることには、それなりに意味はあるかと思う。

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2009年1月 7日 (水)

「吠える犬は咬まない」

では「吠えない犬はかむ」話か?というとそうではないが。

どたばたでマンガチックだが、韓国社会がよく見える、辛辣なコメディとしてはかなり傑作。

犬食文化があるからこそ成立するので、他国では作れない話か。でもってこれがかなりいい味?。

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2008年4月 6日 (日)

「モンゴル」と「ライラ」と「カスピアン」

ひさびさに友人と映画。しかも2本一気に観る。

「モンゴル」

友人は主役俳優が観たかったようだが、東洋史学科出身の自分としては見逃せないネタ。実際、かなりきちんと歴史考証もされた内容で、スピーディかつエンターテイメントに撮られていた。アクションもがっつり、美術も小道具も重厚、なにより中央アジアの遊牧民の文化や風俗を重視して、そっちの視点からの物語になっているように見えたのが一番よかった。

衣装、小道具すべて、こぎれいだったり作り物っぽいところが見えず、隅までしっかりこてこてどろどろの質感。現地俳優(エキストラ含め)たちの素朴な感じがまたよろし。なにより子役と主役の女優さんのきれいな強い目、たぶん演技だけでは出ない魅力みたいなもんか。ジャムカ役の中国人俳優がかなりいいかんじで、これが大阪やったら天王寺あたりを闊歩してるやくざみたいなんだが、モンゴル平原だとまさに遊牧の武将、てかんじ。監督の彼に対する思い入れが強いのか、キャラが立ちまくってて主役を食ってた勢い。いや~しぶいっす。

最後の合戦場面はさすがの迫力で、ここ最近で一番面白かった。やはり三国志とかと通じるものがあるのか。俯瞰で描いたところが、戦略とかもよく見えてかなり面白かった。あの勢いで騎乗して二刀流?モンゴル騎兵ちょーかっこええ~!そりゃ世界を征服できるやろ~って。ゲームとかでまねするやつでてきそうだなあ。エンドロールに流れるホーミーハードロック?は必聴。

「ライラの冒険」

ニューラインらしい、原作に忠実な作り。CGはお約束なので丁寧に作っていて当然か。気球はなかなか意表をつくデザインで面白かった。俳優もイギリス系で占めているし、まあこのままいけばいいんちゃうの、という感じだ。2部と3部はかなり複雑になるんだが、原作どおりにやるんかな?次回作に出てくる準主役の男の子も、大型新人!とか使ってでっかく宣伝するんだろうなあ。

「カスピアン王子の角笛」(まだやってないけど、予告で観た分だけ感想。)

宣伝文句を見て、そんな話やったっけ、と首をかしげる。単純な話を2時間にふくらますにはなんか現代的なテーマが必要なんだろうけど。児童文学の映画化が最近乱立しすぎでちょっと辟易している。今読み返すと、ちょっとこの作品の主題とはちがうけど、熊におそわれかけた後のルーシィの台詞が一番印象に残ってしまった。作者もなにげなく入れたような一言なんだが、一発ぴりりと決まっている。と思う。

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2008年3月15日 (土)

「ナイロビの蜂」と「ダーウィンの悪夢」

アフリカ関連の映画を2題。

一方はサスペンスドラマ、もう一方は丁寧なドキュメンタリーで、どちらもアフリカ諸国を食い物にしている欧米アジアの先進?諸国を告発する内容。

「ナイロビの蜂」は、医療支援と称して、アフリカ諸国の貧困層が新薬の実験材料にされている、という事実の告発活動側と、それを闇に葬ろうとする権力側との闘いが描かれている。前半はサスペンスでけっこう引き込まれる。後半はちょっとB級アクション化してしまうのだが・・・実際似たようなことがなされていても不思議ではないな、と思わせる迫力のメッセージドラマだった。

「ダーウィンの悪夢」のほうは、タンザニアのヴィクトリア湖周辺が舞台のドキュメンタリー。漁業が盛んで加工魚の輸出も活発なのに、なぜか現地の人は限界の貧困状態。その不可思議さ、理不尽さを追ううちに、この輸出サイクルが、戦争需要にからむ“死の”商品流通システム、だということがにおってくる。貨物飛行機は武器を積んで途中の国に降ろし、空のままビクトリア湖へ寄り、加工されたナイルパーチを積んで先進諸国へ運ぶ。当然日本も大量輸入国のひとつだ。ヴィクトリア湖はこの肉食魚のせいで生態系が崩れ、他の生物が激減して限界状態らしい。琵琶湖がこんなことにならないよう願うなあ・・・ドキュメンタリーらしく淡々とした客観的な映像が続くが、そのリズムで、ひたひたとせまる事実の恐ろしさ。最近話題の食品安全問題ともイメージは重なり、回転寿司や白身魚フライはもう食べられなくなる。

個人的には一番恐ろしい(こわい、じゃなくて)と思ったのは夜警の男へのインタビューシーンだった。

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2007年10月12日 (金)

「酒井家の幸せ」

まだまだ「複雑に絡んだ現代社会に鋭いメスを入れ」られない、中学生の男の子の物語。ひっかからず素直に見られる。

特に、「きまずーい雰囲気」の場面がうまい。しかもこの映画、こんなことあるある、と同感してしまう「気まずーい場面」の連続だ。そして、気まずい「本人」はいたたまれないものだが、「他」から見るとかなり滑稽なことだ、と気づく。

話の舞台は伊賀上野、地方色をちゃんと出しているのがいい。地元映画監督といえば、四日市の瀬木監督の作品があるが、話に無理があるのと、アート系描写?を入れてしまってテンポが悪く失敗しているのに比べ、展開も描写も違和感がなくていい。

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「かもめ食堂」

この映画でわかるのは、日本人の大多数が抱いている、であろうフィンランドのイメージ。フィンランドそのものを知ろうと思っても無駄である。(笑)。でもって、自分の持つフィンランドのイメージとはどうもかな~り違うみたいだな(汗)ともわかる。この映画、逆にフィンランド人に見せて感想をきいてみたいもんだ。これ見て日本のことがちょっとは感じられる?と。

で、最初の淡い期待を裏切られつつ見ていたのだが、これはこれで面白い。主要な登場人物が30歳代後半以降~の女性3名、というところもいい。たいていそんな世代の女性といえば家族とか人間関係のしがらみといったものでからまりあってそうなものが、この話ではそんな気配もまったくないのがいい。きもちのいい距離感、ほんとうの「個人」と「個人」のつきあいというか、そうしたものを描いているところがいい。社会が「大人」だなあ、と思う。

そういう「大人の社会」というのを肌で感じたのは、北欧の国々だったかも。この映画全体に流れるとぼけたユーモラスな雰囲気もいい。(やはりこれはカウリスマキの影響?)物語の浮遊感がでてファンタジックになっている。

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2007年7月11日 (水)

「ボルベール」

 冒頭からラ・マンチャ名物?の強風のなか、気っぷのいいスペイン語の飛び交うお墓のシーンですでに不穏な予感。しかし人間関係を把握する暇もなく、かなり早々に夫が娘に殺されて、これはスペイン版アウトか?という展開になった。(つーか監督見てるよなあ?)女性が主人公で、こういう展開になって、常識的にかんがえると似てくるかね。

それだけでなく、ほぼ同時に伯母さんは死ぬし、その向かいのおばさんも癌告知やし、悲劇のジェットコースター?アウトと違うのは、そんな状況でもだれも逃げ出さないことだ。タイトルからして「帰郷」なのだし。人殺そうが死体隠そうが、毎日買い物しないかんし飯食わないかんし。女は強い、そのまんまの映画。

しかし中盤、いきなり車のトランクから主人公の母親が出てきたのには絶句。宮崎アニメのスーパー婆さん登場か?ここから映画はサスペンスからギャグタッチになった。わかっててB級化するところもラテン系?

 にしても「男」は話の展開上必要だが、実はほっとんど関係ない。終始おんなの視点で話は進む。

 主役のペネロペが、まさに「無駄に美人」なので浮いてしまいそうなところ、実に楽しそうに「おばちゃん」を演じているのでうまくはまっている。ドスのきいた低めの声でまくし立てるのもいいし、こてこての厚化粧に補色+柄×柄の派手派手ファッションも、特に大阪のおばちゃんに親近感大、だろう。(でも絶対高そう。きっと全部有名ブランドだわ)彼女のほかの出てくる女性たちすべて、おしゃべりやファッションや生活のディティールを丁寧に描くことで、生活感に密着した視線を維持していて、それが人生の悲惨に対して、地に足のついたバイタリティで何があっても乗り越えたる!という勢いを加速させていて小気味いい。

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2007年3月 6日 (火)

グルヌイユにハッピーエンドを!

「パフューム」観た。原作は読んでいない。舞台はフランスだが、緻密で几帳面なドイツらしい作品感。一番の売り文句「匂いの映像化」は残念ながら成功していないかもしれない。でもそんなことはあまり関係ないんちゃうか、と思うほどリアルで美しい映像。あまりにも違和感のない特殊映像がすごい。画面からは全くわからないので、この画面は現実には撮れないだろう、という状況から判断するしかないぐらい。

物語の後半の舞台、フランス南部の風景が美しく、重苦しいパリから出てほっとする。丈の低い灌木の続く丘陵地帯が棚続く景色の拡がりや、ラベンダー畑の丘陵地。植生的にフランスにしては南方かな?と思ったのだが、パンフにはスペインロケをしたとあったので納得。

話は、孤独と愛のむくわれない話、美しい題材と画面に、哀愁感が引き立っていた。

展開としてはすこし期待はずれ。その理由は以下のとおり。

原作が邦訳されたのが88年、すでに欧米ではベストセラーだったという。当時はこういう理由(いわゆる猟奇的)での犯罪は衝撃的だったかもしれないけど、いまや通常の範囲内。自殺オチも展開からすぐ読めるし、ちょっと新鮮味が欠ける。猟奇的殺人には“本人にとっては”純粋で美しい動機がある、という、こんな題材に共感を持って描けるようになったところが現在的とはいえるか。

もうひとつは、この映画の展開にそって期待させたのは、主人公が最後の犯罪を犯す寸前の、その心情描写にあったから。彼女1人を追う主人公の丹念な描写が続いて、しかも決行寸前でお互い目が合うし。犯罪者が被害者と、少なからず意思疎通する瞬間、最高の緊張が走るはず。小説なら一番のクライマックスになるだろう場面。ここではやはり材料の彼女たちと、目的の彼女との違いを見せてほしかった。せやのに結果は他の犠牲者と同じかよ。ちょっとがっかし。

 それに、あんなに危険なものは女が手にしたほうが絶対面白いよなあ。つーか最後の彼女のエキスを足したらあんなことになるなら、生きてる彼女がつけたほうがより効果的になるんちゃうのん?そしたら話が変わってくるで。つまり彼は寝室の彼女の体臭でひらめいて、殺さずに香水をつけさせる。もともと意に染まぬ結婚を強いられていた彼女、効果覿面で2人はラブラブ化(爆)そこに親父が登場して主人公捕縛。処刑場には、執行ぎりぎりに香水を身につけて彼女が登場。で後の展開は一緒で、二人は逃走。香水は行方知れず(もしくはいつしかヴァチカンにお蔵入りで、後にダン・ブラウンの小説でちょっと解説されたりする。)なんてハッピーエンド。もう大爆笑やな。

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